これまでの三枚のアルバムを経て完全に洗練され始めた楽曲クオリティーと、藤原さんの世界観が強く混ぜ合わさったのがバンプオブチキン通算4枚目のアルバム「ユグドラシル」です。
藤原さんの描いた架空の大樹ユグドラシルを中心に据えたモノクロイラストジャケットが、どこか乾いた空気感を持つアルバムの雰囲気とベストマッチしていますね。
アルバムの全体像
「FLAME VEIN」→「THE LIVING DEAD」→「jupiter」と着実に成長してきたバンプオブチキンのバンドサウンドの過渡期に発表されたのが「ユグドラシル」で、次作「orbital period」以降はバンド外音が強くなっていく傾向にあるため、ロックバンドとしてのバンプの一面が強いこのアルバムが僕は一番好きです。
よく聴いてみると歌詞世界は一人とか別れとかが主題となっている曲が多いですね。今思いましたが、ある意味バンプの最初の代表曲「ガラスのブルース」から、どこか悲しさを含んだ歌詞であることが多いのでBUMPの平常運転かと。(僕はBUMPの全シングルをレンタルしてipodに入れているくらいにはファンです。)
BUMPというのは世界観でアルバムの統一を図っていることが多いと思いますが、このアルバムでもインストで始まりインストで終わるという曲順や、前述した統一された歌詞世界で一つの作品としてアルバムを作っています。
曲の感想
1曲目 asgard
14曲目「midgard」と同じメロディーのアコースティックギターインストです。ただし、ある違いによって雰囲気が異なったものになっているので注目してみてください。
2曲目 オンリーロンリーグローリー
単音でガンガン押していくシンプルなベースと、エレキギターの勢いがすごいストロークで聴く者を魅了するロックナンバー。
背中を押してくれるような素敵な歌詞ですね。
3曲目 乗車券
エレキギターがこれでもかとそこかしこで主張してきて、吐き捨てるようなボーカルの歌い方が特徴的なBUMPの中でも異質な曲。
4曲目 ギルド
アルバムのリード曲のような核となるパワーを持った名曲。
ラストサビの「愛されたくて吠えて〜引きずり出してやる」という力強い歌声に惹かれます。
「この歌詞がすごい」という特集でテレビ番組、通称「関ジャム」でもこの曲が紹介されました。曲中二回登場する「仕事ではない解っていた」という歌詞が持つ意味合いが場面によって変わっているんじゃないかという見解でしたが、良いところ注目しますね〜。
7曲目 同じドアをくぐれたら
「大事なものは普通上に掲げるのに、天秤は大事なものが下に下がるということを書きたかった(意訳)」という藤原節により作られた独特な歌詞を持つ一曲。
基本的に穏やかな曲進行ながら、盛り上げるところは盛り上げるというアレンジがピタッとはまっています。
10曲目 レム
弾き語り感が強く、淡々と歌いこなすボーカルですが、実際この曲は藤原さんが一人で作ったらしいです。アコースティックギターの音色が染みるんですよね〜。
また、フィンガーピッキングの練習曲として重宝します。
12曲目 太陽
BUMPの真骨頂と言える物語調の歌詞で、とても暗く始まりますが、途中「太陽」の大事さに気づいて最後には希望を持てる救いの名曲。
その直後に「ロストマン」を配置しているのはやはり意図的ですよね。
13曲目 ロストマン
この曲の歌詞が完成するまでにかなりの時間を要したという話は有名です。
素晴らしい完成度であることは間違いない。素晴らしすぎて僕にはちょっとこの曲について語ることはできないかな…
最後に
このアルバム本当に好きなんですが、説明するとなると難しかったですね。(今回こんな感想ですいません)
藤原さんの独自の感性に触れるのは僕にはまだ早かったか。
ユグドラシルのバンドスコアも持っていますが、バンプメンバーによる機材解説が6ページにわたるなど充実の内容となっています。
ちなみにBUMPのアルバムで次点で好きなのは「COSMONAUT」です。このアルバムもBUMP特有のロックを体験できてかなり好みだったので何回聴いたことか。
隠しトラック O-TO-GA-ME はーと
BUMP OF CHICKENといえば隠しトラックで、発売されたほぼ全てのCDに隠しトラックが収録されているというバンプのお楽しみ要素です。(このためにシングルCDも全部入手した。)
「O-TO-GA-ME はーと」は隠しトラックながら、スピッツ草野さんのラジオ番組「草野マサムネのロック大陸漫遊記」でも曲が流されたかなりの名曲。
この曲の存在により、「ユグドラシル」の僕的名盤の地位がより揺るがないものとなりました。
曲が始まる前のBUMPメンバーのランキング番組風小芝居も面白すぎて笑
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